自分を客観視することで見えてくるもの
歯科の先生は、「歯科」を権威と捉えてしまう事が多い故に、歯科医師という自分に対する愛が強い人が多いと思います。
それは「歯科」以外の「他」を知らない自身を恥じるどころか美化さえしてしまう傾向へ繋がっている様に思えます。
その過大な自己愛の根本の理由は「歯科」以外の「他」の世界の存在すら知らない「無知」から来ているのではないでしょうか。
もし明日歯科医師免許が無くなってしまったらどうされますか?
「終わりだ!生きていけない!」と考える方はまだ見込みがあるかもしれません。
一方、「大丈夫!何とかなる!」と考える方は上位3%から外れる歯科医師かもしれません。
それは自身が身を置いていた世界の甘さ、他の世界の厳しさを知らない無知が故の根拠の無い自信ではないでしょうか?
歯科医師でよくある開業までのスケジュール
- 19歳で父親の後輩が教授として勤務している歯科大へ入学
- 25歳で歯科医師免許取得
- 33歳まで学位や認定医・専門医取得、もしくは留学経験の為に大学に籍を置く
- 43歳まで大学時代の先輩勤務医院を日給4万で3軒かけもちのパート勤務
月収入は80万
色々な治療出来るようになりたい!
色々な医院を見たい!
教えてもらえる環境がいい!
材料にはこだわりたい!
自費治療に自信ついたら開業したい!
開業の為には予防、インプラント、ホワイトニング、歯周外科etc必須!
- 43歳で兄の医院に出入りしている歯科関係者からテナント紹介、自身で開業準備はしていないが衛生士の妻も乗り気で開業決定、頭金は父親が援助してくれる。
- 30坪、ユニット3台(通常2台、オペ室1台)、CT完備の規模に決定。
自費(インプラント等)にも対応するためにオペ室は必須、返済負担がリスクとならない様にユニット3台、借入金は5000万等…。「開業の先生の大多数がこの規模、中身なのでオススメ」とのコンサルタントからのアドバイスに従った。 - 妻の友人衛生士や勤務医院時代の衛生士、助手がオープニングスタッフとして勤務決定。
気心知れている人間とはじめられるのは有難いとの事。
■ 衛生士の妻の希望もあり、消毒・滅菌には妥協のない医院にしたい。
■ 勤務医時代の患者が開院後も先生に診てもらいたいと言ってくれたからと自信満々。 - 開院前の準備、開業後の経営は有名コンサルタント会社に依頼。しかし担当者とは開業準備に入ってからはじめて会った。本業の治療に専念する為のアウトソーシングは賢い判断だ!!と友人達が褒めてくれた。
- 差別化の為にマイクロスコープ導入希望。
- 医院安定には自費診療獲得が生命線とのアドバイスを周囲皆から貰った。
- 複数の学術的スタディグループに籍を置き、歯科界において高名な先生に認められたいと日々考えている。
- 患者が増えたら、代診医師雇っていきたいと考えているが、衛生士の妻は長期休暇を家族でとりたいから最初から雇うべきとの意見を持っている。
- 65歳で引退を考え、その後は息子に医院を継承したい。
開業して本当に成功するために
これが歯科医師なら一般的、もしくは理想とされる開業時の思考の背景です。
しかし、残念ながらこの歯科医師には社会人意識、患者目線、マネジメント力の考えが欠けています。
真に豊かな歯科医師人生を送りたいのであればもっと視野を拡げ、自分固有の「モノサシ」を作り上げていくことが必要です。
そうすれば自身を取り巻く要素をしっかり客観視出来る様になるはずです。
「歯科への評価」、「歯科治療」への客観視で導かれた私達歯科医師は、「人として」どの様にして信頼信用を勝ち取っていくべきか、またいかに誠実に生き社会貢献していくべきか・・・。
その為に歯科医師と言う「仕事」を客観視し進むべき道を考えれば、夢よりも現実を見つめる、
そして現実として結果を出し続けていく、その為には自身は社会(組織)の中の個と言う自覚が必須・・・。と言う具合に。
自分の「モノサシ」を持つ!
それは視野を拡げ、「歯科」以外の「他」の世界の存在を知る事から始まります。