自費率アップは廃院へのカウントダウン?
思い切った経営判断をしてみる
歯科医院を開業されている院長先生の頭の中は、現在「自費率」でいっぱいの様です。
自費診療獲得が歯科医院生き残りには欠かせないとの歯科業界の教えに忠実な様ですが、先日開業年数において大先輩の先生がとても興味深いお話をされていました。
その先生は、自費率を上げる為に、開業当初からいらしてくれていた既存保険患者様をお断りしているとの事です。ただ、自費率が高くなければいけない、自費率を上げたいとの認識の様でした。
歯科医院には色々な考え方があると思いますが、提供している診療は保険診療寄りか自由診療寄りか、また治療自体の質が高いか低いかで大まかに分類出来ると思います。
大多数の歯科医師の憧れは医療の質は高く保ち、提供の仕方は保険診療よりも自由診療寄りの性質を持ちそれを特徴としている歯科医院だと思います。
しかし、実際には大多数の歯科医院は以下の3点に分類できるのではないでしょうか。
- 医療の質が低いにも関わらず自由診療寄り
- 保険診療寄りだからと医療の質にこだわらず低い
- 医療の質は高水準、しかし保険診療寄りでも自由診療寄りでもどちらにも振り切れてない
97%の開業歯科医師の生涯平均年収は480万円以下との話は過去にしたと思いますが、それ以外の上位3%つまり少数派になる為にはそれら分類以外に位置させてしまえば良いのではと私は思います。
つまりどちらかに振り切るのです。
それは「医療の質は最高、そして全て自由診療で提供」
または「医療の質は最高にしつつそれを全て保険診療の範囲内で提供、つまり保険でもしっかりする」のどちらかを選び、方針として行けば良いのです。
では皆さんはこの2つのどちらを選びますか?
歯科医師の意識≠患者のニーズを認識する
先ほどの問いですが、歯科業界の流れをみると前者「医療の質は最高、そして全て自由診療で提供」が憧れとなる方もおおいのではないでしょうか…。
医療の質に関しては、私は患者様の視点で決まると考えている人間なのでここからは先進的か古典的かに言葉を変えていきたいし、大して意味は変わらないかと思います。
「医療の質は最高を自由診療で提供」を「先進的な医療を自由診療で提供」に置き換えて話を進めます。
するとブームは過ぎたとはいえ、やはりその主役はまだインプラントになるかと思います。
しかし、インプラントバブルは崩壊し、インプラント重視型歯科医院はかなりの苦戦を強いられているのが現実です。
その苦境の原因となったインプラントに対するネガティブキャンペーンはそもそも誰の何が原因で起こってしまったのでしょうか。
私は、インプラント治療は今後歯科治療の将来を担うべき治療の一つと考えます。つまり、素晴らしい中身だと。
では何故インプラント中心医院が破綻に…、それは紛れもなく提供側つまりその歯科医師に問題があったという事でしょう。
歯科医師として未熟だったという可愛い話では無く人間としての幼稚さが招いた事の様です。医学的な技術、判断が無い等という次元では無く、社会人なら当然出来るであろう合理的判断を自分にも社会にも出来ていなかったという事だと思います。
自分の能力を過信、目先の利益を追求、患者のニーズのはき違え等、だからこそインプラント治療が出来うる医院重装備化に1億以上投資で経営圧迫に繋がったのだと思います。
この日本においてインプラント治療は今後も浮上する事はおそらくないでしょう。
これらを踏まると「先進的でその質は最高、そして全て自由診療で提供」という判断は、社会からの歯科に対するジャッジを考えると選ばない方が賢明かと思います。
では3%を目指すなら、振り切るのはもう一つの方、
「古典的だが医療の質は最高にしつつそれを全て保険診療の範囲内で提供、つまり保険でもしっかりする」
を選ばれてはいかがでしょう?
保険診療中心で経営を安定させる2つの方法論
皆さんがご存知の様に保険診療は単発でみれば確かに採算がとれるものではありません。
するとこちらで経営を成立させ3%を目指す為には以下の2点が重要です。
- 医院の獲得患者数を増やす、つまり来院患者数を増やし、それに対応出来うる様医院を大型化させ、さらに一日来院数を増やす、月レセプト数を増やす、そしてまた大型化という薄利多売の多を実践する
- 獲得患者から利益が出るに見合う一日来院人数を決めその方々に対し医療の質を落とさず対応出来る様従業員数を増やし、時間やお金等全てにおいて効率化を目指すべく医院全体で策を施しルールを設けて運営して行く
この医院において院長に求められる能力、それはもはや歯科技術ではありません。
経営者としての才覚です。
マネジメントを意識した新しいアイデアが浮かぶ発想力、そのアイデアを実行出来る決断力行動力、
それを周囲に表現出来るアピール力、これらが97%の歯科医師より優っていて魅力的で無ければいけません。
そしてこれを診療圏内の患者様、歯科業界内の人間に表現しどちらにおいてもブランド力を上げる。
それにより作られた組織をまとめる力が必要となります。
自費率アップ、その言葉の意識の矛先は自費診療により収益性を上げましょうという事です。
自費診療獲得収入が高い医院、実は逆に自費率は低い事が多いです。
それはその医院は保険診療も大事にし、地域で信頼され患者様を増やせている医院つまり保険診療も多いからです。
院内稼働効率を考えたら保険患者を断り自費率を上げる!
それが賢い方法とおっしゃっていたあの大先輩はまだ活躍されているか不安になります。