患者様の良いサイクルを生み出すカギは「パターン化」
歯科医院は初診を増やす事に注力する傾向にありますが、初診だけで予約が埋まる様な事態は開業後数日で、通常は既存患者様がいる中での初診対応になります。
リピーターを増やすことが「歯科医院力」のカギ
初診患者に満足してもらう事は歯科医院の発展には欠かせませんが、その為に既存の患者様への治療、対応が雑、更には予約がいっぱいだからと急な既存患者を断る、では有能な歯科医院とは言えません。
初診で来院された患者様をリピーターにさせる力が高ければ高い程、患者様は増えて行きます。
その為、当初程初診患者に満足を与えるに至る時間をかけられなくなる、またそれと同時にかつては初診患者だった既存患者にも満足を与えるに至る時間をかけられなくなります。
すると次に求められるのは、何人もの患者様が重なってしまう等のいかなる状態でも全ての患者様を満足させられる力だと思います。
その歯科医院力ともいうべき能力はどの様な物を言うのでしょうか?
それはいくつもありますが今回は「治療」の分野、そしてそれを歯科医師個人の話では無く「歯科医院」全体としてお話したいと思います。
我々歯科医師が仕事をする際に意識を向けるべき事項は、以下の3点と考えます。
- 「患者満足獲得」
- 「スタッフ強化」
- 「最大の効果を得る治療パフォーマンス」
この3つは1つずつ単発にクリアする事で成せるものでは無く、それぞれがリンクしているものです。
歯科医師は歯科医院を「仕切る」立場として歯科医院全ての事柄に対しての歯科医師の1つの言動で先述の3点を獲得できる様心がけるべきです。 すると「歯科治療をする」も当然その1つの言動に当てはまります。
大切なことに時間を費やす
当法人医療法人RAISEには「処置ワンパターン化」というマニュアルがあります。
例えばインレー形成、
総時間を30分と決めればその内訳として
- 5分・前回の予後確認本日の処置説明
- 5分・麻酔
- 10分・C処置
- 5分・印象仮封
- 5分・本日の処置説明
でトータル30分となります。
歯科医院が患者様から選ばれる立場になった現在、この中で短縮出来る部分はどこでしょうか?逆に短縮してはいけない部分、まず患者様は、麻酔は痛い、型を採る事は気持ちが悪い等はもう確実に分かっています。
するとそこを手薄にしたら他と同じになる、それはアウト、つまり麻酔、印象は手を抜けません。
仮封はその状態で次回来院時まで過ごして貰う事や脱離した際の医院評価を考えたらある意味一番大切な内容です。
スタッフにさせる歯科医院が多いとは思いますが何かあった時のリスクを考えると実は歯科医師自らが行わなければいけない位の仕事です。最初と最後の処置説明も間違いなく省けません。
すると消去方で短縮出来る部分は歯科医師が一番大事と考えている10分のC処置、まさに治療部分です。
ここを5分に短縮し5分捻出できたら最後の説明を以前の倍の10分にでき、その時間で歯科医師の「治療観」・「仕事観」を患者様に伝えられ他院との「差」を感じられるよう、「特別感」を演出することが出来ます。
そしてそれは患者様側からしても歯科に対する不安不信の解決を歯科医院側から提供してくれるのですから不満が出るどころか満足に直結します。そして何より患者様自身の治療の苦痛の時間が減らせます。
その実現の為には医院全体で、臨床の現場で行われる一般的な治療について、大幅に内容を整理し無駄なこだわりは排除、全員で同じ材料を使い、同じ治療を出来る様にコンセンサスを持ち、同じ手技を繰り返せる様「ワンパターン化」を図ります。
「最新治療」とうたわれるものの導入に時間を費やすのではなく、1つの病態や障害に対して、1つの治療方法に絞って「ワンパターン化」した方が効率的である上、症例を積みやすいので精度も上がります。
その際、長年採用されて生き残ってきた方法の方が、新奇性の高い方法よりも信頼度が高いのは確かです。臨床では、「いかに新しいか」を競うより、「どれだけ経験を積んでいるか」の方が、医療の質を決定付けると私は考えています。
良いサイクルのために処置のパターン化を考える
処置ワンパターン化で歯科医師が「時間」を自分のものとし仕事が出来れば、それは当初の予約通りの仕事を効率よくでき、複数人同時の処置も可能となりその歯科医師の1日処置人数も増えます。
処置する人数が増えれば当然歯科医師の実力は上がり、歯科医院にてイレギュラーとも言える患者様からの負の問い合わせ、クレーム、予後不良等の再治療は勿論減り、さらに予約通りの仕事ができ効率が上がり、さらに多くの複数人同時の処置もでき歯科医師の能力も上がり患者満足も増え・・・と良いサイクルになり得る可能性が広がります。
周囲のスタッフも来院患者数が増えれば患者応対経験が増え人間的成長に繋がるだけで無く、効率的な数パターンが毎日繰り広げられている事で教わらなくてもただ現場にいるだけで否応なしに歯科処置についての知識が上がる事で歯科医師の仕事内容への理解が早くそして深い為歯科医師の業務のサポートも濃く出来る事により
自身が医院の当事者という意識を芽生えさせる事に繋がりやりがいの提供になりえます。
また使用する材料も限定される事で発注納品のミスも減り、また大量購入となり経費削減の実現にもなります。
「患者満足獲得」「スタッフ強化」「最大の効果を得る治療パフォーマンス」の3つを1つの行動で実現させる、まさに「処置ワンパターン化」で完璧に出来ていると思います。
これが歯科医院での「治療の分野」においての「何人もの患者様が重なってしまったとしても全ての患者様を満足させられる力」と当法人では考えています。