歯科医院にイベントは求められてはいない!
歯科医院の「イズム」が伝えることが大前提
最近、開業時に「内覧会」を行う歯科医院が増えています。
それに伴いそれを仕掛ける内覧会請負会社も増えて来ています。
確かに内覧会は医院スタート時に患者を呼び込む方法として良いとは思います。
しかし、我々歯科医師側のその内覧会への意識が少々間違っている気がします。
私は歯科医師が自ら医院を立ち上げるというのなら、医院の治療方針、運営方針を社会に知らせていく必要があると思います。
社会はその院長の考え、「イズム」があって初めて医院の存在を知り、そしてその「イズム」の中身が魅力的だと感じたから他ではなくその医院を選び患者となります。
つまりまず「有るか無い」か、そして次にそれが「魅力的か魅力的では無いか」が重要です。
当然魅力的で無ければ患者様から選ばれませんが、その前に「無い」では話になりません。
つまり開院前に人を呼び込める、初診に繋がるという話ではそのストーリーの中心に「イズム」が無ければ多くある歯科医院のone of themにしか過ぎず、一過性に集客して初診を増やせても患者様はすぐ離れていくものです。
つまり「内覧会実施=歯科医院として流行る」では無いです。
あくまでも、内覧会は「イズム」を伝える場という意識が必要です。
内覧会を手がける代行企業は歯科医院の発展にはその「イズム」の必要性がある、そしてその中身の質が大きく影響する、との理解のうえ手掛けてくれているのでしょうか?
多くの内覧会企画会社は「歯科医院は集患に苦労している→他職種の事業スタートを考えれば、例えば「開店」ならこうするでしょ!!→だからしちゃえばいいじゃん!!それしないからダメなんじゃない!!」に近いように思えます。
そうでなければ、着ぐるみを着たスタッフが派手なプラカードを持ち風船を手渡したりすることで内覧会に誘導する等の企画は考えられないと思います。
歯科医院の本当の経営力を高める
私は歯科業界の誰よりも他職種を尊敬し、見習おうと努力していると自負しています。
しかし、そんな私でも歯科医院は医療機関、歯科医師は医療人と思われたいと思っています。
医院開業時、歯科医師が歯科医は医療を施す仕事と自負しているのであれば、その実力・魅力で患者様が喜んで通院して頂ける様策を施すべきと考えます。
その策が企画会社に大金をかけ依頼し内覧会を仕掛けると言うのなら、その真意をくみ取って地域に対して歯科医師の「仕事観」「治療観」を表明する場とさせてくれる、品格のあるサポートを提供してくれる会社を選ばなければいけません。
歯科医院は経営の素人が運営をしている!との認識が社会ではあります。
他社会で何かを少しでもかじった事のある位のレベルの人でも我々歯科医師よりも
経営に関しては長けているのは事実です。
しかし、その人達の意見、アドバイスは時に我々歯科医師の品を落としかねないものも含まれていると社会人として自己判断出来なければいけません。
そして何より最も重要な事は内覧会を「する・しない」、会社を「選ぶ選ばない」の様な事態になるつまり他に頼らざるを得ない現実は我々歯科医師の人間の未熟さ、自力の無さ、医師としてのモラルの低さが招いていると肝に銘じなければいけません。
その証拠に適切なアドバイスを供給してくれていても我々歯科医師側の能力に問題があり、出された提案の力を発揮させられない状況も多々あります。
例えば歯科医院においての「キッズルーム」「カウンセリングルーム」がそれに当たります。
どちらもその狙いは素晴らしいものですが、我々歯科医師がそれを使いこなせない事もしばしば。
「キッズルーム」を待合室に備えた院長がそのキッズルームによる増患の狙いとして小児の親がターゲットなのか、はたまた小児自身がターゲットなのかも自身で分からないなんてこともザラではないでしょうか?
「キッズルーム完備」の広告で何を狙っているのか当の歯科医院の誰も分からない状態も珍しくはありません。
また「カウンセリングルーム」もその歯科医師が患者様に対して医学的根拠に基づくプレゼンテーションを嫌味なく出来る能力が無ければその部屋が使われる事は無く、おそらく良くて「カルテ保管室」に使われるのではないでしょうか。
また季節的なイベント、例えば節分やクリスマス。
当日は歯科医院ではスタッフ全員で鬼やサンタの格好で患者様に対応なんて医院もある様です。
真意としては地域の患者様が歯科医院側に対して敷居の高い印象を持たれている状況が考えられる時に少しでも患者様と同じ目線に立つ、感じて貰う狙いだと思います。
その狙いが必要な立場関係にいる医院ならもしかしたら深い信頼関係構築に至れると考えられますが、
その様な関係にない医院であれば真逆な結果を生む事は容易に想像出来なければいけません。
患者様が少ない医院であればその取り組みが増患に繋がると期待を込めるなんて事もある様です。
しかしその状況では事態が好転することは考えられずむしろ
悪化の一途をたどるのは眼に見えています。