世間からは歯科医院は医療機関と思われていないのが現実
医療機関としてみられていますか?
我々歯科医師が考える理想や読みが正しく、それにより築き上げられている歯科業界の方向性、流行が正しければ「良い歯科医院 歯科医師の条件」というアンケート調査の回答はこのような結果が理想なのではないでしょうか。
1位 専門医、認定医である、
2位 高い技術を持っている
3位 CTやオペ室が完備されている
4位 TCと呼ばれるスタッフがいる
5位 消毒滅菌を妥協してない
6位 保険では無く最新の自由診療を提供してくれる
しかし実際のアンケート結果は
1位 説明をしっかりしてくれる、分かりやすい、話を聞いてくれる 35%
2位 治療費や期間が明瞭で不安なく通院できる 30%
3位 患者第一で考えてくれる 10%
4位 腕が良い、手際が良い 8%
5位 人柄が良い、優しい、親しみやすい 7%
6位 スタッフの感じが良い、優しい 5%
7位 痛くしない 3%
8位 医院がきれい、清潔 2%
となっています。
我々歯科医師が理想として考える常識と現実の回答は大きなズレがあるようです。
しかもそのズレは「根底の次元からの勘違い」の様な気がしてなりません。
実際のアンケート結果、果たしてこれが医療機関に対する評価でしょうか?
4位の「腕が良い、手際が良い」、7位の「痛くしない」は一見医学的な事ですが、それでも我々歯科医師がこだわる医療の質とは程遠い話、つまり技術的内容では無いようです。
社会からの評価、医療を施す場に対してとは思えない次元の内容ばかり、つまり歯科が医療機関と思われていない現実がここにあります。
では医科はどうでしょうか。
同じ様な質問を医科に対して行われた場合もアンケート結果は同じ様な内容になると考えられますが、医科は歯科とは違い医療機関と思われている、いや思わせる事が出来ています。
それは患者様に伝えるべき事を伝えられているところ、そしてそれにより事実、真実を理解させる事が出来ているところ、にもかかわらず権威を損なっていないところ等、地に足付けて必要最低限の事を確実に抑えている点、そこを抑えなければいけないと認識している点といった巧者ぶりで歯科は医科の足元にも及ばない状態だからです。
例えば歯科の「知覚過敏」は日常的に対峙する事になる頻度の高い疾患ですが、そういう意味では眼科での「老眼」、内科での「風邪」等が上げられるでしょうか。
そしてまたこれらの疾患の原因、病態、医療機関側の対応、患者側の理解対処と言う点でも似ていると言えます。
しかし風邪が治らないからといって医師に対し不信感を露わにし、怒っている患者はまず見かけたことが無いと思います。
また老眼で慌てて医院に駆け込み、治療を希望する患者も見かけないと思います。
つまり「風邪」、「老眼」がどういったものなのか、理解させる事が出来ていますよね。
医療機関側が無用に格を下げる事態をスマートに防ぐ事が出来ているという小さな話だけではなく、患者側つまり社会が正しい知識を持ち対応でき心の面からも健康的な社会生活を送れるという医療の真の本質を提供できているという大きな話も実現させる事が出来ています。
しかし歯科の場合はどうでしょう?歯科の知覚過敏はどうでしょう?
我々歯科医師は原因、病態はしっかり理解させる事が出来ているでしょうか?
患者様側の対処をしっかり理解させる事が出来ているでしょうか?
医院側の治療対応はしっかり出来ているでしょうか?
「知覚過敏ってこういうもの」を普通に患者様に伝える、当院はこれだけで広告宣伝しなくても口コミのみで患者様が増えて行く・・・、早くからこの医院の存在を知りたかったと・・・。
と、いう事は、歯科は恐ろしい程「完璧」に出来ていないですよね。
この高頻度の疾患に対して各歯科医院はそれぞれ独自な理論解釈で対応、ましてや治療のガイドライン等の必要意識も無く、差別化と称して機器、材料で特別感を演出する事で自由診療収入獲得に繋げる術を、歯科業界をあげて競い合うというお粗末な状態です。
こんなことでは歯科医院が医療機関と思われるわけがない。
また、策を講じてシュミテクトを勧めるというレベル。
シュミテクトを勧めるならドラッグストアや東急ハンズの店員でもやっていますし、勧めるという点ではむしろ歯科医師よりも上手いかも。
このレベルの仕事をしているにも関わらず歯科医師、歯科衛生士は我こそは医療人と鼻高々に歯科治療を語り、肩で風を切って歩いています。
こんなことでは歯科医師が医療人と思われないかもしれません。
歯科医院では「ビール飲んだらしみた!! 虫喰ったみたい!!」と今日も多くの患者様が来院されるでしょう。
擦り傷なら清潔にしていればOK,傷が深ければ病院で縫わなければダメと世間の人は知っています。医科はスゴい。
海外の様に歯科が医科と肩を並べられる日が日本では来るのでしょうか。