「自費治療出来る様になりたい」・「インプラント覚えたい」・・でも将来やる場面があるのでしょうか
良い歯科医師は自分という商品を売り込める
そもそも歯科医師にとって「歯科治療」とは何なんでしょうか?
それは歯科医師にとっての武器、歯科医師が提供する商品と考えなくてはいけないと思います。
武器や商品で考えればその物の強さ、重み、価値という視点で見る必要があると思います。
武器ならそれを扱う人間に能力が無ければ武器本来の力を発揮できませんし、商品でも提供する側の品格や信頼が欠けていれば商品本来の重み、価値は薄れてしまいます。
そしてまた受け手側の印象を決定付けるのも扱う、提供する側の人間次第と考えて良いと思います。
つまりその武器、商品を扱う側の人間の品格、器、幅、視野、教養、感性等その人間の人物次第だという事です。
現在の歯科業界の抱える問題を考えるとビジネス本で良く目にする「ダメな営業、良い営業」の話を思い出します。
ダメな営業マンは「商品を売る」、良い営業マンは「自分を売る」という事なんですがダメな営業マンは商品を売る事つまり商品自体に意識が集中する、良い商品なら何とか売れるが質の落ちる商品なら勿論売れない。
そしてその意識でいけば実は良い商品すら売れず、売れなければ商品のせいとなってしまう。
一方良い営業マンは自分を売る、つまり買う相手の心理を掴みそこに自在に自分を合わせ自己表現し信頼を勝ち取れる。
そうなれば商品はもはや何でも良い、良くても悪くても売れる。ただ信頼が全てと知っていることもあり、悪い商品は絶対勧めない、するとさらに信頼される様になりますます商品を買ってくれる、と言う話です。
つまり「商品ではない」、差がつく、勝負が決まるのは「扱う人」という事です。
歯科医師は大抵20歳前後で歯科大に入学してから「歯のみに関する知識」を叩き込まれています。
最終目標は歯科医師国家試験合格。遠回りがあったとしても30歳位までには歯科医師になり、その後は歯科医院に勤務、先輩歯科医師に技術を教わり開業に至る。医院は継がなくとも2世3世等の世襲で歯科医師免許は引き継がれる事が多い世界故、その子供達もまた歯科医師を目指し歯科大へ進路を決める。
周囲は同じ境遇の人間が多く、友達も同業の歯科医師ばかり、結婚相手も同じ境遇で成長して来た歯科医師なんて事もしばしば。
学生時代に同じ境遇の人間だらけならまだしも免許取得後勤務しても歯科医師とばかりの交流、それが会社で言う上司部下の様な関係ならまだましだが、全くの別物の関係しか知らず年を重ねて行く。
この環境の中で扱う、提供する「武器、商品」つまり「治療」の重みに対する当の歯科医師の考えはどの様なものなのでしょうか?
結局人間としての成長が重要
大多数の歯科医師は良い営業マンになれていないのではないでしょうか。
のんびりしている人なら何も他を知らず視野が狭いが故、現状やこの先等を考えるという概念も無く周囲皆がその「武器商品」を扱っている、周囲皆がその「武器商品」は強い、価値があると言っている、だから何も考えた事が無い、ただ扱っている。
つまり治療の質等も考える事も無くただ仕事してるだけと言ったところでしょうか。
もう少し利己主義的な人であれば何も他を知らず視野が狭い事が原因とはつゆ知らず、何の根拠も無く自身満々に「武器商品」は強い、重い、価値があるとなっている。
つまり盲目的に歯科医師はスゴい、だから歯科治療は素晴らしいと連鎖している様です。
そしてまた武器を強くする、商品の価値を上げるつまり「歯科治療」の質上げる事、それがすなわち人間の品格、器、幅、視野、教養等人間的な全ての能力の向上そのものと考えている様です。
また権威的な人であれば歯科治療が武器商品にあたるとは不謹慎、何事だと怒られてしまうかもしれません。
それは歯科治療の質を上げることのみをしていれば良い、それは歯科治療が崇高なもの、我々はそれを扱える権威ある人間、利益獲得は当たり前、それ以外のものはその他大勢でやって下さい、の様な認識によるものから来ている様です。
良い営業マンになりましょう。
歯科治療をしていれば良いという概念を捨てましょう。
歯科治療=歯科医師ではありません。
それは使う物、扱う物、さらに言えば表現する物です。
そしてその歯科治療は万能で優れているという概念も捨てましょう。
歯科治療が優れているかの評価、それは受け手側つまり患者様が感じる事、決める事です。
また歯科治療の質を例え上げられたとしても患者様は喜んではくれませんし、ましてや選んではくれません。
「良い営業マン」を思い出して下さい。結局は扱う人間つまり歯科医師の人間の質が全てを決めます。
最後に歯科治療の質を上げ技術の成長を遂げたとしても「人間の成長」とは無関係です。
歯科治療はただの武器、商品です。扱う物の質を上げたに過ぎません。
例え提供出来る治療の質を上がったとしてもそれを扱う人間の質が低ければ患者様から声がかかる事はありません、磨くべきはまずは自分、治療はランク外。
技術向上は当たり前過ぎるゆえランキングされる事はありません。
良い営業マンなら意識せずとも声に出さずとも間違いなく治療技術はあるものです。